石垣島の海の中の清掃活動
石垣島ブログ2016年2月14日
石垣島の天気:晴れ 風:南~北 波:3.0~5.0m 気温:27.3度(15.5度)
今日の石垣島は晴れの天気です。
ポカポカ陽気を通り越して扇風機が欲しくなる暑さでした。笑
午後から風が北に回って一気に寒くなりました。
既に先月の出来事ですが、
海中ゴミ清掃の冊子ができあがりました。
参加者には発送されてると思いますが、
参加できなかった皆さんもお店にストックがあるので、
ご来店の際にでもご自由にお持ちください。
今回、自分も冊子に文章を書いたので、
ついでに今日のブログに載せておきますね!
かなりの長文です。笑
「ゴミは持ち帰るべきなのか?」
海中ゴミ清掃活動も今年で5年目を迎えました。当初は地元の高校生と共同でのゴミ清掃をメインに活動していましたが、今年から県内外から一般ダイバーも広く募集することになり新たな局面を迎えました。今年は海中清掃だけでなく講演会やパネルディスカッションも催され中身の濃い活動になったと思います。過去5年間の海中ゴミ清掃活動を通して自分なりに考えたことを「モラル」「ゴミの分別」「リサイクル」に分けて述べたいと思います。
海中ゴミ清掃で回収するゴミのほとんどはポイ捨てされたゴミです。空き缶やペットボトル・レジ袋などの典型的なポイ捨てのゴミもあれば、バッテリーやパソコンなどの故意に不法投棄されたゴミもあります。また、回収できずにそのまま放置したと思われる釣り糸や船のアンカー・係船ロープなどゴミの種類は様々です。ポイ捨てをなくすにはどうするべきなのかを考えたとき初めに思い浮かぶのはモラルの向上です。20年前や30年前に比べるとポイ捨てに対するモラルは格段に向上していると思います。ポイ捨ても減ってきていると思います。しかし、ポイ捨てされるゴミが完全になくなっているわけではありません。だとすれば、モラルの向上ばかりに頼っていても今後の伸びしろはあまり期待できない気がします。
モラルから視点を変えて環境面を考えてみます。20年前くらいは街のいたるところにゴミ箱がありました。しかし、家庭ゴミの不法投棄やゴミの分別など様々な問題に伴いゴミ箱は街中から姿を消してしまいました。ここで疑問なのが、公共施設などのゴミが出ると予測される場所にゴミ箱が設置されていない現状です。昨今の「ゴミは持ち帰りましょう」の風潮で疑問に感じないのかもしれませんが、本来、ゴミは出た場所で集めてゴミ処理に出すのが合理的です。ゴミを持ち帰っても移動させる手間が増えるだけです。20~30年前と比べてモラルが向上したようにゴミ処理の技術も向上しているはずです。モラルも技術も向上したと考えると、公共施設にゴミ箱を設置しても以前とは違う結果が導ける気がします。
次にゴミの分別です。効率よくゴミを処理するためには分別は必要だと思います。しかし、分別が細かくなり過ぎることには疑問です。現状でもゴミを出すときに、資源ゴミや燃やすゴミ・燃やさないゴミの分別に悩んでしまうことが多々あります。特にビニールなどの石油製品は分かりにくいです。高齢者や障碍者も含めて考えると、ゴミ分別の細分化はだれにとっても住みやすい社会からは遠ざかっていく気がします。
また、ゴミ収集の際に分別がキチンとされていないゴミが回収されずに放置されたままの現状にも違和感を覚えます。もちろん、出した人が片付けるべきです。しかし、片付けない人がいるのも現状です。片付けなかった場合も想定してゴミ収集の対策を考える必要があると思います。ゴミ問題の受け皿としての社会のシステムを考え直す必要性を強く感じます。
最後にゴミのリサイクルです。リサイクルはゴミを資源に変える魔法ではありません。ゴミを加工して資源に変えるのがリサイクルです。加工する際にも電力などのエネルギー(資源)は消費されます。廃棄物(ゴミ)も発生します。リサイクルとリユースの違いを認識しておく必要があります。
リサイクルの最大の問題点は安易にゴミを捨てやすくなる点です。例えば、ペットボトルがリサイクルされずに焼却処分されるとしたら勿体ない(資源の浪費)と思います。捨てることに罪悪感も生まれ消費に対するブレーキにもなります。しかし、リサイクルされるとなると罪悪感は薄らぎ消費を促進する結果にもつながりかねません。ゴミを増やさないためには、リサイクルを正しく認識しゴミを捨てている自覚を持たなければいけません。
世間のイメージでリサイクルは良いことをしているイメージがあります。しかし、良い悪いをプラスとマイナスの基準で考えると、リサイクルはプラスの活動ではなくマイナスを減らす活動にすぎないと思います。ゴミのない状態をゼロと考えたとき、焼却や埋め立てでゴミを適切に処理することはプラスの活動です。ゴミを出した場合はマイナスです。出したゴミのうち何割かがリサイクルされるとマイナス分が少し減ります。これがリサイクルの本分だと思います。排出するゴミの量はリサイクル分を上回るのでプラスに転じることはありません。リサイクルを意義あるものにする為にもリサイクルの本分を認識することが必要です。
全てのゴミをリサイクルできれば理想かもしれませんが、資源節約のリサイクルのためにも資源を消費します。また、ゴミの分別が複雑化すると不法投棄を増やす一因にもなりかねません。モラル向上やリサイクルのみを重視するのではなく、分別の簡素化やリサイクルの採算性なども考慮しながらゴミ問題の対策を考える時期にきていると思います。
海中ゴミ清掃活動に参加すると、ゴミを減らし海中や海岸をキレイにできるだけでなく、ゴミの抱える社会的な問題についても関心を持つようになります。一般ダイバーの方はもちろんですが、これからの社会を作っていく高校生がゴミ問題に関心を持つことはとても大きな意味を秘めていると思います。生きる上で排泄が必要なように、生活する上でゴミが発生するのは必然です。ゴミ問題は避けることのできない課題です。解決のためには常識や雰囲気に囚われずに広い視野で考えることが大切だと思います。近い将来、高校生たちの若い柔軟な頭でゴミ問題を抜本から変えるようなアイデアが生み出されることを期待し、その為の一助になれればゴミ清掃活動も社会的に大きな意義のあるものになると思います。